チヌ釣りへのいざない




       チヌ釣りの魅力

      いろいろな釣り方

     団子釣りの位置付け

    団子釣りとチヌの習性
































チヌ釣りの魅力


襟をかき寄せ飛雪に震えながら、『浮き』の動きに目を凝らしている『釣り人』がいます。 寸陰もない炎天の波
止で身を煎りながら、流れる汗を拭うのさえ忘れている『釣り人』がいます。 ふと思い出したように『今年は土
曜日を一日も休まなかったな〜』とつぶやいた『釣り人』がいます。 『13連敗』した後に待望の1尾を仕留め
たと豪快に笑いとばす『釣り人』がいます。                              ・

今日もまた『釣り人』と『チヌ』を巡るドラマは尽きることなく繰り返されています。 こんなにも『釣り人』を
夢中にさせてしまう『チヌ釣り』の魅力とは一体何なのでしょうか。 ほんの小さな前当たり、そしてそれに続く
変化へのときめきと緊張、合わせを打った瞬間細仕掛けの竿はもう極限かと思うばかりにしなります。    ・

魚体を反転させながらグイグイ絞り込む強烈な引き、耐えに耐えてようやく底を切ったその瞬間から、再度猛烈な
反撃が始まります。 遮二無二逃亡を試みるチヌ。 竿を送り、糸を送り、疲れたとみるや一瞬の隙を捕えて強引
に引き戻す。 やがて水面に姿を現すであろう『きらめく銀鱗』への期待、何度かのやり取りの末にやっと姿を見
たその瞬間、最後の大抵抗が始まります。                               ・

もし一瞬でも竿捌きを誤れば、あの逞しい奴は『釣り人』に背を向け、悠然と立ち去ってしまうでしょう。 緊張
不安、ときめき、『釣り人』の全神経を凝縮させる、チヌとの『やり取り』の醍醐味は、一度味わった『釣り人』
にはとても忘れられない感動です。 こうして釣り上げた量感のある1尾の逞しさと美しさは『釣り人』を魅了し
て止まないでしょう。                                        ・

でも、そうしたチヌとの『やり取り』だけが『チヌ釣り』の魅力の全てではありません。 それに勝るとも劣らず
『釣り人』を夢中にさせ、虜にしてしまうチヌの魅力は、極めて単純だけれど、やはり簡単には釣らせてくれない
『チヌの手強さ』ではないでしょうか。                                ・

人影を見るほどに足元にまで忍び寄り、チーズからコーン、スイカまで人の生活そのものを飲み込んでしまうほど
に大胆なあの『チヌ』が、『釣り人』の差し出す竿先を臆病なほどに警戒し、期待に打ち震えながら釣行する『釣
り人』をその都押し返し打ちのめすのです。 この『手強さ』こそが『釣り人』に暑さや寒さ、雨や風をいといも
せず、いそいそと釣行させる原動力になっているのです。                        ・

もし簡単に征服できるとするならば、きっとこんなにも『釣り人』の心を捕えはしないでしょう。 『今日こそは
』と勇んだ釣行も釣果なく終わり、落胆しながらの帰途にも、その『手強さ』ゆえに『釣り人』はますます征服欲
に駆られて行くのでしょうか。 仕掛け、餌、ポイント、彼等の頭の中では既に次回に向けての新たな秘策が練ら
れているに違いないのです。                                     ・

もしその事実をご自分の目で確かめようとするならば、釣具店の小物コーナーを覗いて見るといいでしょう。 そ
れらの全ては『チヌの手強さ』ゆえに征服欲に駆り立てられた『釣り人』達にとっての『チヌ釣りの魅力』の証明
です。 それにも関わらず、何故かつい足元の波止で手軽にトライできるのも、また『チヌ釣り』の魅力の一つで
しょう。 さあこの扉を開いて私と一緒にこの素晴しい『チヌ釣り』の第1歩を踏み出してみませんか。   ・




































いろいろな釣り方


『チヌ釣り』の種類は一体どれくらいあるだろうか、以前幾つかの釣り雑誌を参考にその種類を調べてみたことが
あります。 しかしその余りの多さにすっかり呆れてしまい、すぐに止めてしまいました。 地域性、それが更に
個人レベルにまで広がっていくわけですから、これはもう『釣り人』の数だけ広がりを持っているといってもいい
過ぎではありませんね。                                       ・

そこで、最もベーシックな釣りのパターン毎に、代表的な釣法のみを次のように整理してみました。 どのような
切り口で分類するかについては異論があるかと思いますが、基本となる釣法については概ね網羅していると思いま
す。                                                ・


この分類によれば、私の釣りは『ウキ釣り』の中の『ダンゴ釣り』です。 『チヌ釣り』にはこのように、無数の
釣法がありますが、『釣り人』は自分の釣法にこだわりを持っていて、釣れても釣れなくても頑なに自分のスタイ
ルを崩そうとはしません。 これもまた『チヌ釣り』ならではの特徴です。                ・

さて、あなたはこの中からどんな釣法を選ぶのでしょうか。                       ・

                
































団子釣りの位置付け



『いろいろな釣り方』の分類に示すように、『ダンゴ』を使ったチヌ釣りには次の3種類があります。    ・
一つは『ダンゴ』と『浮き』の組み合わせによる『浮きダンゴ』、一つは『ダンゴ』と『投げ釣り』とを組み合わ
せた『ぶっこみ釣り』、それともう一つは『ダンゴ』と『短竿手釣り』を組み合わせた『かせ釣り』です。  ・

私のホームページのテーマとなっている『ダンゴ釣り』は『浮き釣り』に包含される、最もポピュラーな釣法で、
『紀州釣り』が源流となっています。 従って私の『ダンゴ釣り』の位置は『いろいろな釣り方』の分類の朱書の
部分になります。                                          ・

この『ダンゴ釣り』は使用する浮きの種類によっても、更に小さく細分されていきます。 主な浮きの種類は、非
自立浮き、自立浮き、寝浮き、円錐浮き、そして円錐浮きは団栗浮き、徳島浮きというふうに際限なく広がってい
きます。                                              ・

また餌のアクションによっても、幾つかに分類できます。 私はダンゴが割れた後のアクションの違いによる、3
つの釣法を持っています。 1つはダンゴが割れた後、ダンゴから餌が飛び出すように5〜10cm程浮かせ、そ
の棚をゆっくりと流す『一般的な浮き釣法』、もう1つは一旦浮いた餌を更に沈めて底を這わせながら誘う釣法で
勝手に『変形ダンゴ』などと呼んで
います。                              ・

また、その『変形ダンゴ』から更に変化した釣法で、ダンゴが割れた後も餌の重みだけで浮きをそのまま10cm
ほど沈め続け、底を這わせながら釣る、これも勝手に『地御前釣り』などと名付けた釣法です。       ・
   


 












































団子釣りとチヌの習性



チヌにはいろいろな習性があります。 もちろん私達がその全てを知り尽くしている訳ではありませんが、一般的
に言われている習性をまとめてみると次のようになるでしょうか。                    ・


警戒心が強い 
夜の波止で電池の光を海面に向けると『釣り人』に叱られてしまいます。 落とし込みのフィ
ールドでは足音は禁物です。 『釣り人』はチヌが光や音に敏感に反応し、すぐに警戒してし
まうことをよく知っています。 また一度バラすと暫くは活性が下がるのも、こうした警戒心
の現われでしょう。
嗅覚が鋭い  
色の識別はできず魚眼といわれるように視覚は弱いようですが、嗅覚は相当に鋭いようです。
かなりの遠くから匂を嗅ぎ付け、餌を求めて集まってきます。 同じ波止でも特殊なダンゴで
やられると他の人は全くダメという経験はしばしばありますね。
聴覚が鋭い  
釣り人の足音や声高な会話を聞きつけて強く警戒します。 一方では『ダンゴ』を投入する音
に引かれ、あの大きな音にもどんどん集まってきます。 餌や濁りとの条件反射なのでしょう
か。
潮上を好む  
メバルは潮裏、チヌは潮上を好むといわれます。 従ってメバルは岩陰や潮のたるみがポイン
トになります。 一方チヌ釣りのポイントは潮の当たってくる側になりますから、『釣り人』
はしっかりと潮目を読み潮上にポイントを定めることになります。 
濁りを好む  
『瀬戸内の濁し釣り』はチヌが濁りを好んで集まってくる習性を巧みに利用した釣りです。
チヌは濁りに好餌が潜んでいることを良く知っているのでしょう。
動く餌に関心 
濁りからいきなり飛び出してくるような、動きのある餌に強い関心を示します。 ダンゴ釣で
は餌が飛び出した瞬間、前当たりもなく一気に引き込むことも珍しくありません。
まずは味わう 
一般的には餌が安全かどうか、じっくりと吟味するようです。 これが前当たりです。 そし
て少しでも違和感があるとすぐに吐き出してしまいます。 少しずつ引き込みながら、安全性
を確かめた後で一気に持っていきます。
かなりのグルメ
食性からみるとかなりのグルメと言えます。 食性を総合するとアミノ酸に行きつくと考えた
人がいて、ダンゴにダシの素を混ぜたり、昆布ダシでダンゴをこねるなどと大真面目に考えて
いる人もいます。

このようなチヌの食性や習性をよく見てみると、ダンゴ釣りはまさにチヌの習性を読み切った、とても合理的な釣
りであることが解ります。                                      ・

ダンゴが着底する。 ダンゴは少しづつ溶けながら、濁りと匂いを放つ。 それに吊られてチヌが寄ってくる。・
或いはもっと大胆にダンゴをつつくかも知れない。 10秒〜20秒するとダンゴはいきなりパカリと割れて、中
から餌が飛び出す。 餌は5〜10cmスッ!と浮いて、ゆらりゆらりと潮に乗って流れる。 チヌはくわえては
吐きつつ餌を吟味(前当たり)し、安全を確かめると、一気にくわえて走り始め(本当たり)る。      ・

『ダンゴ釣り』はこんなストーリーが描ける合理的でとても素晴しい釣法です。 如何でしょう。 私と一緒に『
ダンゴ釣り』を楽しみませんか。                                   ・